((私の言葉を、西園寺君はふわふわとした自身の髪を指ですきながら聞いていた。
大きな目が細められて、私に背を向ける))西園寺「...月子さん。
おヒョウさんが、爆睡してまでみる昔って何だろうね。
彼女に、そんな頃があったのかな。
もしかしたらまやかしかも。
こうなりたいとか、そういう類いの想像が夢になることってあるっていうじゃん」((西園寺君の言葉で、場の空気は一気に重たくなった。
確かに、西園寺君は普段から豹那ちゃんには冷たく接しているようにも見えた。
でも、副会長として会長の彼女をサポートしているようにも見えたし、素直になれない兄と自信のない妹的な関係にも見えたのに。
何で、彼は今。
こうも豹那ちゃんを卑下したのだろうか))帝「ちょいちょいチョーイ。
そりゃァチョイとばっかし言い過ぎじゃねぇの?
月子言葉に困ってるじゃん?
うちらのダイジなダイジな姫君困らせんなよ。
ソーセーちゃん?」((西園寺君を制したのは、普段から何かと豹那ちゃんに意地悪をする帝君だった。
基本的に明るくて滅多なことじゃ怒らないことで好評の彼なのに。
今の帝君は、見てわかるレベルで怒っていた))帝「そりゃあサ?
ヒナはアンポンタンだし、弱っちいし、正直ソーセイちゃんが会長やった方が何事もうまく進みそうだし?
嫌う気持ちもわかっけどサー。
ヒナにだってヒトとしての尊厳や思い出、捨てきれない過去のひとつふたつあんべよ。
お前と一緒で」((西園寺君は、なにも言わず。
うつ向いて。
さっきまで豹那ちゃんが座っていた席を見下ろしていた。
ガンッ、と。
彼の長い足で椅子は蹴り飛ばされ、教室の壁にぶち当たる))ッハハ。
バカじゃないの?
あんなの、ヒトじゃない」((何で、彼は。
そんなに冷たいこと、言えるのだろうか))∨(西園寺くんと豹那ちゃんの間に何があったの...?どうして、彼はこんなにも...)
∨豹那ちゃん、昔の夢でも見てたのかしら...