東雲「誰も文句なぞ言わん。
...むしろ、お前サンには聞いておいてもらう必要すらもあるんじゃろう。
ヒョウはな、衝撃波と同時に全く逆の能力を持っておるんじゃ。
『壊す』ことが目的の衝撃波と対になる。
『生かす』ことが目的の能力。
どんな瀕死の者でも、ヒョウがその手で触れ強く願えば生き永らえる事ができるんじゃ。
ワシは何度かそれを目にした。
虫の息の子供が、ヒョウが触れ願っただけで息を吹き返したこともあった。
じゃが、等の本人はあまり能力を理解しとらん。
助かったのも奇跡で、自分の力じゃとは思っとらんのじゃ。
教えてやれば良いとも思うじゃろ?
そうすれば、少しは命に怯えなくなると思うじゃろ?
そうもいかんのじゃ。
弱点のない能力なぞこの世にはない。
『寿命』じゃ。
ヒョウは、瀕死の者でも蘇生させられる代わりに自分の『寿命』を対価で無意識のうちに差し出している。
じゃから、能力を使ったあとはひどく疲れきって寝てしまうんじゃ。
ヒョウに、お前サンは自分の寿命を削る代わりに瀕死の者でも助けられるぞと言ったらどうなるか分かるじゃろ?
嬉々として能力を惜しみ無く使うはずじゃ。
それが存在意義となってしまうんじゃ。
そしていつか、目を開けなくなってしまう...」∨そんな...(...でも、きっと豹那ちゃんならそうする。あの子は優しいから、人を見捨てられない...)
∨うん...。私が、聞いていいのかわからないけど...