「ッはぁ!!!」
(___それ、の遠吠えが響き渡った際、この新宿には不文律がある。
遠吠えがなければ安堵する。
遠吠えが近ければ逃げる。
その際、抗争で殺し合っていようが
金を求めて怯える善人をなぶっていようが、なぶられていようが。
手と手を取り合い、とにかく、ひたすら逃げる。
それだけは、それだけは。
絶対的な不文律なのだ。
だが、この目の前の白い獣に臆するものか。
自身もまた、獣と恐れられた不文律の塊。
憎しみに憎しみを塗り重ねて出来上がった歪な肉塊。
___この獣は、私の獲物だ。
私は、今日も。
この獣と刃を交える。
互いの心臓を貫き骨まで食らわば____)
‡ま、さか...!