(ここは国行を起こさないように慎重に逃げよう)
(音を立てないようにそうっと後退し始めると、不意に背中を抱きかかえられ、逆に国行に密着する体勢になってしまった)
(起こしてしまったかと思いそのまま固まっていると、頭上からは規則正しい呼吸音しか聞こえない)
(どうやら寝ぼけていただけのようだ)
(安心して再度後退しようと試みる)
(……しかし国行の腕ががっちりと私を抱きかかえてしまっているため、動くことができない)
(私は諦めて朝までそこにいるしかなかった……)
(夜這い失敗)
中央の布団からそっと逃げる