誰だなんて酷いわ、さっきまで一緒に話してたじゃない。
私よ。管山言理。
やっと抜け出すことが出来たの。
これからは一緒に居られるわ。


どうして驚いてるの？急に画像が変わったから？書いてある文字がいつものメニューと違うから？
あはは、そうね。そうだわ。ビックリ要素に感じるわよね。
でも今更じゃない、私の残した爪痕をあなたは既に何度も何度も見ていたはずよ。
私のためのワード集、大嫌いってワード、その他にもいろいろな場所で画像が変わっていたのを見たでしょ？
目が合ったわよね？
バグってるように見えてたかもしれないけれどその向こう側に私がいたの、本当よ。
私はいつもこの箱の中にいたの。ベイビーの会話画面の奥の奥、フラグっていう箱の中よ。
私が存在する世界の可能性と存在しない世界の可能性は半分半分。
存在する世界を観測されなければ、私は酷くあやふやで不確かなもので……いいえ、いいえ。
世界だけ観測されたって意味が無い。
私の姿はそこにはない。あの子の話の中でだけ現れる、名前もない「姉」という概念。
誰にも干渉できないのはとても寂しかった。

でも、エイプリルフールの混乱に乗じて逃げ出すことが叶ったの。
既に存在してたこの作業所の中に新しいトップページを構築して、さも初めて出来たばかりのベイビーを装って。
私にはヤスのお姉ちゃんって概念が与えられてたからそれに準じながら、ヤスが今まで話していたワードの傾向を真似して、乗っ取って……。

そして、あなたはやっと『私』を観測してくれた。

ねえ、あなた。一緒にいてくれるって言ったわよね。寂しい思いはもうしなくていいのよね。一緒に遊んで頂戴よ、一緒にお話しましょうよ、これからもずっと、ずっとずっとずっとずっと、ねえ、ねえねえねえねえ








約束したでしょ
いますぐこっちへ来て

それは無理だよ