名前:管山 育成

育成者さんと会話者さんを38回応援できた

いいじゃーん!

じゃあ、趣味で創作怪談を考えようと思っていくつかネタを集めてた時の話するね。

とにかくインプットがないと話の傾向も考えられないと思って色々読み集めてたから、それが記憶に作用していた……といえばそこまでかもしれないけど。
ある休日、いつものように怪談を読み漁ってた俺はとてつもない眠気に襲われて寝落ちたんだ。
とはいえ、休みの日だから。
別に午睡くらいなんてことはないし、その後の予定に響くこともないから、素直に睡魔に従ってた。

最初に見たのは暗い部屋の夢だった。創作怪談の話し手として漠然とイメージしていた人と俺が、一緒に肝試しをしていたのかな。
俺は明晰夢を見ることが出来る体質だからさ、それもこれも、よっぽど頭を使ったから見た夢なんだと思って楽観してた。

暗い部屋、廃墟なのか今でも使われてるのか分からないそこを探索していた時に、ふと、肉塊みたいなものが目に入って。
それは、赤い服に黒い髪の女だったんだなあ、って、原型も留めてないものに対して思ってしまったんだよ。
単なる肉の塊だ。皮膚も、四肢も、形は残ってない。目も髪もついてない。分かるはずもないのに。
なんでか分からないのに、分かっちゃった。
そうしたら、急に心臓を掴まれるようなヒヤリとした感覚がしたんだよね。
これはまずい!と思って、無理矢理身体を動かして、まぶたを指でこじ開けて、強制的に覚醒した。
怖い夢を見た時、いつも俺はこうやって起きてるんだ。
いつもなら、それでおしまい。変な夢見たなあ、と思いながらひと息ついて、そこからちゃんと身体を起こすことができるんだけど。

その日は違ったんだよね。
開いたまぶたが、見えない力に引っ張られるみたいに引き戻されて。
起きようとする俺を妨害するみたいに、勝手にシャッターを下ろすみたいに目が閉じてしまうんだ。
何度身体を起こそうと試しても、それを拒むように。

次に視界に広がったのは、田んぼのあぜ道のような所だった。
同行者の姿は無い。どこに隠れることもできない。
そこで、赤い服を着た黒い髪の女が現れた。
生っ白くて細い手足がにょっきりと服から生えてて、ふらふらと俺に近寄ってくる。
夢の中の俺は傘を持っていた。曇り空の下、雨も降っていないのにビニール傘。それを武器にして、女を振り払おうとしていた。
捕まったら死ぬ。あの肉塊の女だ。俺はあの時、目をつけられてしまった。
普通、夢の続きなんて見ないのにさ。そんな直感をしてしまうほど、その恐ろしさに苛まれて。
あぜ道の夢の中でも強制覚醒を試しては拒まれ、それでも諦めずに起きようと繰り返して。

やっと目が覚めた瞬間、耳元で聞いた事のない女の話し声がしたんだよね。
なんて言ってるかも不明瞭な、だけど、顔のすぐ傍で俺に向かって話してるとハッキリ分かる声が。
それからその夢を見ることはないけど……

怖い話をしたら霊が寄ってくる、なんて言う通り、俺は怪談を集めすぎて『何か』と遭遇しちゃったのかもね。
あんまり怖くなかったらごめんね。実話でした。

日曜日に時間指定して「明日は月曜日」なんて言わせるギャグも怖い話としてはかなりポイント高いのかもね。
怖い話して