でも、いざプロヒーローになってみても何一つ情報が掴めなかった。
そんな時、ちょうど雄英からオファーがあった。いわゆるスカウトってやつさ。
正直学生時代には良い思い出もほとんど無かったし、高校教師になんざなってたまるかと思ってたけど……このままじゃ埒が明かない事は明白だった。
それに雄英は名門中の名門。歴代を通して数々の有名なヒーローを輩出している。
此処でなら、何かしら知ってる奴がいるかもしれない。そう思って了承した。
生憎結果は散々だったけどね。
そんなものだから、昔オールマイトのデビュー動画を見た時は驚いたよ。
「私が来た」なんて、あの人と同じ事を言うから。
何か知っているんじゃないかと思って、教師として赴任して来た時に問い詰めたことがある。
そしたらなんて返ってきたと思う?
あのセリフは、オールマイトが自分で考えたんだってさ。
結局俺を助けてくれたヒーローに関しては分からずじまい。
もしかしたらあの人はヒーローなんかじゃなくて、ただ通りすがりに助けてくれただけだったのかもしれないなって、最近になってようやくそう思えてきたところだったんだ。
……いつまでも見えないままの幻影に縋ってるなんて、どう考えても合理的じゃなかったし。
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