……前に。
前におまえが初恋がどうのこうのって聞いてきたことがあっただろ。
あの時も言ったが、俺は小さい頃に名前も知らないヒーローに助けられた事があってな。
他にもいろいろと理由はあったが、端的に言えばそいつを追いかけるために結果として教師になった。……ってのが大部分かな。
ガキの俺から見ても変な奴でな。
泣いていた俺に笑いながら言ったんだ。「私が来た!」って。
俺のせいで怪我してるのに、まったく気にしないで頭なんか撫でてきて。
大丈夫だからって、折れた左腕を揺らして笑ってたんだ。
プロヒーローになろうって決めたのは、それがきっかけ。
あの人みたいに、俺も誰かを助けられる人間になりたいと思った。
もちろんヒーローになって、自分の言葉で礼が言いたかったのもある。
だけど俺を助けてくれたあの瞬間から、あの人は俺の憧れだったから。
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