(…ここに来てからどれくらい経っただろうか。)


(相変わらず何も起きないまま日々が過ぎて行く。)


(何故みんな平気な顔をしているんだろう。)


(このまま何もしなければ、私は…過去も未来もないままこの籠の中で生かされ続けるのか。)


(私は正直、もう正気ではいられなかった。)


(…一刻も早くここを抜け出したい。)


(ここを抜け出せば、何も思い出せなくとも自由に生きられる…。)


(モノクマが言っていた方法は…誰かを殺して裁判に勝つか、最後の2人になるまで生き残るか。)


(…私にはもはや、待つという選択肢は残っていなかった。)


(…誰かを殺してしまおう。…けど、誰を?)


(真っ先に浮かんだのは彼だった。)


(一人で過ごしていることが多い彼なら…)


(人がいない隙を狙って厨房へ行き、包丁を手に取る)


(自殺に見せかけようか、事故に見せかけようか…。)


(そんな事を考えてながら、私は包丁を持つ手を後ろに隠し、超高校級のメイドの研究教室のドアを開けた。)



殺す