(彼の周りをぐるりと回って、様子の違う場所を探す…。)


(…と、細い枝の一つに、鈍い赤色を放つ何かがくっついていることに気がついた。)


(…林檎だ。)


(血のように赤い林檎が実っていた。花が咲いた様子もなかったのに、いつの間に実ったのだろうか。)


(私は思わずそれを手に取った。…どこか懐かしい匂いがする。)


(力を入れずとも、それは容易く枝から外れてしまった。手に馴染む重さが心地いい。)


∀どうやらもう時間が無いようネ

∀望みを託して