(そう呟いた、瞬間。
痺れるように、足元から肌が粟立った。本能的な恐怖に、向けられた視線に、呼吸が一瞬止まる)
(何の確証もない。面影も、最早思い出せない程に別人。絶対にそうであって欲しくないのに。
心のどこかで、確信している)…あーあ、なんで最後の最後に気付いちまうんだろうなァ。
分かんねぇままなら洗脳でも何でもして連れてっちまおうかと思ってたのによー…。
思い出すなら、ダメだ。あーあ。
…結局、ヒーローなんだよなァ。お前も。胸糞悪いぜ。
(何かをポケットから取り出した手が、こちらに伸ばされる。避ける事も、逃げることもできないまま、抱き込まれるように腕が回されて、耳元で荼毘が笑った)安心しろよ。その時が来たら、◯◯のこともちゃぁんと
兄ちゃんが殺してやるからな。
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