はい、叔父上がどうかしまし……あ、いえ。なんでもございません。

(え、なんで止めたの?)

……そ、それは……。

……その、確かに鳴狐殿は、私たち、吉光の打った刀にとって叔父上と呼ぶのに相応しい方です。

ですが、鳴狐殿を打った粟田口国吉は、吉光からみてどの位置の方にあるのか文献によって様々なのです。
父親であることもあれば、兄弟であることもあり……。

主殿の仰る通り、我々が鳴狐殿を「叔父上」と呼ぶ本丸は多い。それは、国吉が吉光の父親であるという説が強いからにあります。


……ですが、強いだけであって、真実とは限りません。なので、私たちは極力、鳴狐殿を叔父上と呼ばないようにしているのです。本人は気にしていないようですがね。


まあ、うっかり口を滑らすこともありますが。……先ほどのように。
叔父上