初恋、ですか？
そうですねぇ……あれは陸に上がって少し経った頃でしょうか。NRCの入学式を終え、学園内を探索していた時です。植物園に植えられている、魔法薬作りで使用する植物にとても興味が湧きまして。

そしてその中で一際目を惹いたのが、そう……小さな小さなキノコです。
他の花や植物たちとはまた違った丸い傘のフォルム……緑一色の植物園の中で一際目立つ派手な色…初めて見たそのキノコは、僕の掌に収まるほどの小さなものでしたが…その小さな体には人間が口にすれば一溜りもない程の強い毒を持っていて。

最初はあんな小さくてちっぽけなキノコがそんな毒を持っているなんて信じられなくて、食べてみたんです。少しだけ、端っこの方を、ほんの少しですよ？貴方の小指にも満たないほどの量を少し齧ってみたんです。
そしたら……ええ、あの瞬間はよく覚えています。雷に打たれたような……ものすごい衝撃でした。目の前が突然ぐるぐる周り出して、息が出来なくなり、全身に痺れが出て、気づいた時には医務室に居ました。気を失って、一週間たっていました。

…ふふ。ええ、ほんとうに……あんなちっぽけなキノコで生死を彷徨う事になるなんて。
なっんて面白く興味深い！もっともっと、キノコのことが知りたい……！それが、僕の初恋でした。

(ぽ……と、ジェイド先輩の頬が赤くなった)

近い将来、自分の山を持ちたいと思い計画している位には、キノコの事を愛していますよ。
ああ…こういうのは今どきは、沼る、と言うんでしたっけ？ふふ、面白い表現ですね。