え……マドルを貯めて来た、って、……一万マドルですよ?本当ですか?あなた、この間金欠だからとお昼ご飯に食パンの耳とか食べてませんでした?
(実は泊まるために貯めてたので金欠だったんですエヘヘ……と、一万マドルの入った封筒を渡す。アズール先輩が恐る恐る手に取り封筒の中を覗き込んで目を丸くしていた。)
…………ゲストルームに、一泊泊まるだけですよ?ほんとうに良いんですか?フロイドやジェイドに招かれて寮生の部屋には入ったことがあるんでしょう?それと大きく差はありませんよ?
(大丈夫です!泊まりたいです!と頷く。)
……成程。
………ああ、しかし、残念ですね。今日はゲストルームが満員でして。
え、明日?…明日も満員です。明後日も。確か数ヶ月先まで予約が埋まっています。ええ、オクタヴィネルのゲストルームは人気なんですよ!知りませんでしたか?マジカメ映えするとかなんとかで予約が殺到してまして!ああっ、残念です!とても残念だ……〇〇さんが昼食を節約してまで貯めた一万マドルはお返ししなくてはなりませんね。さあ、お返しします。早くしまって下さい。早く。今すぐ。
(封筒を制服の内ポケットに仕舞うと、満足そうに頷かれた。)
…………ところで。慈悲深い僕としては、やはり友人の願いを叶える事が出来ない、という事にとても悔しさを感じていまして……
ゲストルームは空いてはいませんが、予備の寮生の部屋は空いているんです。ゲストルームよりも多少質素で、家具も少しシンプルなものですが……そちらで良ければ、お貸し致しますよ。
料金は、ええと…500マドルで構いません。
えっ!!!!そ、そんな安くていいんですか!?だ、だってゲストルームが一万ですよ!?