(いつものように授業を終え、オンボロ寮へと帰る。腹が減った早く帰るんだゾ〜!と騒ぐグリムが玄関の扉をぐいぐいと引っ張ると、ギイ、と音を立ててあっさりと開いた。
……あれ、今日朝出る時鍵閉めたよね?
「どーせ子分が鍵閉め忘れたんだろ!ちょうど良かったんだゾ、俺様もう腹がペコペコ……、」)
(そう言いながら中へ入ったグリムがぴたりと動きを止めた。大きな耳をぴくっと動かして、少し毛を逆立てている。)
グリム「…………人の気配がするんだゾ。」
(え、と一瞬固まるけど、オンボロ寮の合鍵を持っていて勝手に中に入ってそうな人といえば、フロイド先輩だ。
もしかして中で待ってるのかな?なら早く行かなきゃ、と一歩踏み出そうとする私をグリムが引き止めた。)
グリム「チガウ。ソックリ兄弟のニオイじゃねー……
この学園のヤツのニオイじゃないんだゾ……でもどっかで嗅いだことあるよーな……
オイッ!誰なんだゾ、勝手に俺様と子分の家にふほーしんにゅーしてる奴は!」
(グリムがフシャー!と猫のように威嚇して大声を出すと、廊下の先からゆっくりと足音が聞こえた。こちらに向かって来る。)
ーーー……やれやれ。相変わらず騒がしいな、君達は。
え……あ、貴方は……!