まあ…そうですね。あの時、感情が酷く昂っていたあの時は……多少なりとも貴方を恨みましたよ。〇〇さんさえいなければ、と。
しかしこうして冷静になって考えると、そんな考えは酷く愚かですね。全て自分が撒いた種であり、〇〇さんに隙を取られたのも自分の油断が許した事。あなた達が怪しい動きをしている事にも、作戦の内容は知らずとも薄らと気づけていたのに、 貴方のような魔法も使えない、見るからに小さく弱い生き物に僕の全てを覆せるわけが無い……などと、自らの力や現状を過信し、対策を怠った事。
つまり、ああなってしまったのは僕の甘さが招いた結果ですから。
〇〇さんはただ……この世界へ来て、唯一の生きる綱である学園長に頼まれ、生きる為にやった事でしょう。僕への個人的な恨みからの行為でもなく、面白半分でやった訳でもない。
そんな貴方を、どうして恨めと?
……それに、〇〇さんは、……、…………いえ。
……まあ現状、モストロラウンジの経営はあの頃よりも乗っていますし。契約者の数は確かに以前よりは減りましたが、数は特に問題ではありませんからね。以前はポイントカード無しで相談に乗っていましたから。
それに、僕らオクタヴィネルのモットーは自己責任。
その寮長である僕が、ネチネチと貴方を恨んでいては笑いものでしょう?
恨むどころか、沢山の事を〇〇さんには教わりましたから。寧ろ感謝している位ですよ。