(飛行術の授業が終わり、ひたすら走り込みだった私はその場にへたり込んだ。)
小エビちゃん、大丈夫〜?
あは。すっげー走ってたもんね。もっと手ぇ抜いてのんびり走ればいーのに。真面目だよねえ、そういうとこ。
(両脇に手を入れられ、ひょいっと持ち上げられた…と思ったら、荷物のように肩に担がれた)
寮まで送ってったげる〜。
んえ?なに?走ったせいで汗臭いからいいって?
そーお?クサくないよべつに。どれどれ…
(スンスン…と匂いを嗅いでくる先輩の頭をべち!と叩いた。か、嗅ぐなし!!!!デリカシーゼロ!!!)
イテッ。んはは!そんなにヤダ?臭くないってぇ。ほんとほんと〜。
え、つーかオレのが臭くね?今日半分サボってたからそんなに汗はかいてねーんだけど……あ、小エビちゃん、そこの窓から空き教室入って廊下に出て階段上がった先で飛び降りて屋根伝ってくと近道だからそこ行くね。揺れるから掴まってて。
(階段上がった先で?飛び降……?不吉なワードが聞こえてヤダヤダ!とじたばたもがくけど降ろしてくれる訳もなく、近道のせいで変な汗をめちゃくちゃかいたし、オンボロ寮でようやく解放された頃には腰が抜けて暫く立てなかった……)