あたしが「向こう」から竜洞に引っ越してきたのは、人間で言えばちょうど小学校に上がる時だった。
パパもママも人間世界と関わる仕事をしていた事もあって元々あちらに興味があったあたしは、故郷を離れる寂しさよりも新しい環境への期待で胸がいっぱいで。
「人間と仲良くなれるかな」と事あるごとに親に聞いては「きっとなれるよ」と言ってもらって満足していた。
ただ、それは甘い希望でしかなかったと今は思う。
「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」
「フラムちゃんまた⚪︎子ちゃん泣かせたの?」「フラムちゃん力加減できないじゃん。もう遊ばない!」「なんか角とか尻尾とか生えてて変。近寄らないで」「そ…そんな…」
もちろんこんな子たちばかりだった訳じゃない。
友達になってくれた子だっていっぱいいたし、
竜人との交流が始まって長い竜洞市では見た目で拒絶される事も…表向きには。歳が上がるに連れて次第と少なくなっていった。
それでも。
新しくできた友達と遊んでいても。
パパやママに慰めてもらっても。
心の古傷は残ったまま、不意に嫌な気持ちになる事はあった。
でもこのままだったら大人になるにつれて、昔のこととして忘れていけたと思う。
そうならなかったのは中学生になってしばらく経った時の事が
原因だった。