その日もセンパイは懸命に話しかけてくれていて…アタシはそれを尻目に音楽を聞きながら無視を決め込んでいたんだけど。
イヤホンがポロッと外れて、中から音楽が漏れ出てきた。
センパイは一瞬驚いた顔をして…次に子供みたいな笑顔でこう言った。

「自分もこのバンド好きなんだ」

無邪気な顔でどこが好きかって言い続けるセンパイに、仲間を見つけたって安心感とアタシ自身がこのバンドを好きになった頃の気持ちを思い出して。
気づいたらわんわんと泣き出していた。
センパイは大分キョドっていた。
無愛想な不良女が目の前で泣き出したら誰でも驚くと思う、しょうがない。

そこからは色々と世界が変わった。
事情を話して、少しずつ言葉を交わすようになって…そのうちに土下座して(やめろと何度も言われたけど)今までの暴言を謝った。敬語を使い出したのもここからだ。

後はセンパイの紹介してくれた子たちとつるむようになって、バンドを組んで…気づけばクラスでもそれなりに喋るようになった。
アヤとはこの時に知り合った。
物おじせずに話しかけてくるから珍しいと思ったけど、センパイの知り合いな上に雲龍族のお嬢様と聞いて納得した。
…そして、アヤのセンパイに対する態度を見ているうちに。
アタシ自身も自分の気持ちに気づいた。


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