うっさいわねー。そんなに何度も呼ばなくたって聞こえてるわよ。ただ、ちょっと昔を懐かしんでただーけっ。
だってそうでしょ?こんな風に堂々とファミレスで大騒ぎしてるだなんて、皆が売れっ子になった今じゃとても考えられないもの。っていうかアンタ、これ盗撮よね。あとで出るとこ出てやるから、せいぜい震えて待っておきなさい。
……あの、さ。この頃の私って、ちょっと……ほんのちょーっとだけ意地っ張りだったじゃない?
トップアイドルを目指すなら事務所の皆も敵でしかない。だから仲良くする必要なんかない。それで嫌われたって構わない……ほんと、自分でも呆れちゃうほど意地っ張りよね。思わず笑っちゃうわ。
本当はね?楽しそうにおしゃべりしながらファミレスに行くアイツらのこと、いつも羨ましかったの。
でも、なかなか声を掛ける勇気が出なくて、そうこうしてるうちに変な意地が出来ちゃって……だからこの日は、私にとって本当に特別な日だったのよ。
初めてのランクアップ、初めて出来たアイドル仲間、そして……初めて貰った、私だけの特別な贈り物…………全部が本当に、本当に嬉しかったわ。
んで、実はこの特別な日を演出してくれた伊織ちゃん的MVPがいるんだけどぉ……いったい誰だと思う?
……にひひっ♪わかんない?じゃあ特別にヒントをあげようかしらっ。
たったひとりのMVP、それはね……意地っ張りだった私の心を優しく溶かしてくれて、光の射す方へ私のことを導いてくれて…………今、私の目の前にいる……私にとって、とってもとっても大切で……心から信頼できて……大好きな人…………
ふふっ。ここまで言えば、いくら鈍感なアンタでもわかるわよね。
ねぇ、プロデューサー。ここにある義理義理義理チョコ……ううん、とっておきの本命チョコよりずっと甘いもの……欲しくない?
今、ちょうど誰もいないし……本当は事務所でこんなことしたらダメだけど……たまには、ほら…………ね?
……それじゃ、いくわよ…………んぅ……♪
バタンッ!!
美希「たっだいまなのー♪」きゃぁっ!!?
ドンッ!!!!