……なに言ってんの?そんなもん、とっくに終わったわよ。

さっき女の子が先輩の告白への返事をしたじゃない。そこで物語は終わり。皆が羨むハッピーエンドを迎えたのに、これ以上なにがあるっていうわけ?

ふんっ。失礼しちゃうわねー。アンタ如きがトップアイドルである私の考えたシナリオに文句をつけるなんて、100年早いわよ。

どうせアンタの頭の中にある追加シナリオなんて蛇足に決まって…………





……まだ女の子の告白に対して、先輩から返事をしてない…………?





い、いや。なに言ってんのよ……アンタ、プロデューサーのくせに歌詞も把握してないの?

この曲は先輩から女の子に告白したところから始まってて、女の子はアイドルとしての夢か女の子としての夢か、どっちをとるのかすっごく迷って……最後はアイドルとしての夢をとったのよ。



だから私が、さっき女の子としての夢も叶えてあげて……もうそれで終わりでしょ!?先輩から告白してきたんだから、もう返事なんて決まりきってるわ!!

アンタなんかが余計な気を使わなくたって、十分これでハッピーエンドで……ちょっと!なに!?やめてよっ!!今さら何を…………ねぇっ!!





やめてよっ!そんな、返事なんて……私聞きたくないっ!!さっき言ったでしょ!?ただ受け取るだけでいい、聞いてくれるだけでいいって!!

せっかくAランクになって……気持ちも伝えられて…………私の中で……ようやく整理がついたのに…………今さら余計なことして掻き乱さないでっ!!アンタになんの権利があって、私の心に土足で入ろうとしてんのよっ!!!



やだっ!私、帰るっ!!そんな蛇足なんか聞く価値もないし……聞きたくないっ!!絶対にやだっ!!やだぁ!!!



ガシッ



やっ……は、離してっ!!離してよぉ!!やだっ!!やめてっ!!もう……もうさっきので終わりなのっ!!全部……全部終わりなのっ!!!



だから……っ…………初めての思い出ぐらい…………綺麗に終わらせてよぉ…………っ!




【……伊織、好きだ。大好きだ。俺と……付き合ってくれ。】
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