ふぅ……夜風が気持ちいいわねー。ふわっと優しく吹いてきて、なんだか風まで私を祝福してくれてる気がするわ。
はぁ、それにしても……もう大変とかそういうレベルじゃないわね。マスコミ各社からの取材対応に忙しくて、とても感傷に浸ってる余裕なんかなかったもの。
おまけにアンタはグスグス鼻を鳴らしっぱなしだし……ほーんと泣き虫よね!にひひっ♪
……うん。私、本当になったのよね。Aランクアイドルに。トップアイドルに……本当に、なったのよね?
そっかぁ……なーんかまだフワフワしてて、ぶっちゃけあんまり実感ないのよねー。
Bランクに昇進したときもそうだったけど、後からジワジワ嬉しさが込み上げてくるものなのかしら。ふふっ、楽しみ楽しみ!
……思えばここまで来るのに、ほんと色々あったわね。
何度もアイドルなんか辞めてやるって思って、その度にアンタが止めてくれて、二人で二人三脚で頑張ってきて…………もう思い出がありすぎて、振り返ってたらこのまま夜が明けちゃうぐらいよ。
だから、一言にまとめると…………私ね、アイドル続けてきてよかった。
アンタと一緒に、アイドルをやっててよかった。お父様を見返したいなんて、そんなちっぽけな話じゃないの。アイドルとして、頑張ってきて本当によかった。
だから、このアイドルって職業、私は大好きよ。今までも、これからも……ね。
……ぷっ!あははははっ♪なーに泣いてんのよっ!今日のアンタ、ちょっと泣きすぎでしょー!みっともなーい!
いーえ、泣いてましたー。私、ちゃーんと見たもーん。嘘つかないでくださーい♪
はぁ、アンタとこんな風にバカ話してるの、やっぱり楽しいわね。ほんと……アンタがいたから…………私は……私は…………
……ねぇ、プロデューサー。ちょっとだけ時間いい?
【ぐすっ……も、もちろん!なんだって付き合うさ。】