……落ち着いた?

雪歩「ご、ごめんなさい……おかげさまで落ち着きましたぁ…………」セイザッ

ったく、確かにワガママになれとは言ったけど、それで自分を見失ってどうすんのよ。ちゃっかり欲望だけは伝えきってたし。

あと、これが終わったらアンタの中の伊織ちゃん像を再確認させてもらうわ。場合によっては三日ぐらい泊まりを覚悟しなさいよね。

雪歩「うぅぅ……家からパジャマを取ってこなくちゃ…………」

ふんっ。それじゃ次のメッセージ……って、読みにくっ!?えーと、なになに…………



【伊織ロボ「ユキホサマ、オタンジョウビオメデトウゴザイマス。ワタシカラハ、コノソウトウディルドヲプレゼントシマス。コレヲモッテゼンラデマコトサマニチカヅケバ、アナタノオモイハキットカノジョニツタワリマス。ケッコンシキノナコウドハ、オマカセクダサイ」】



そーとーでぃるど……なにこれ。日本語?

雪歩「ぷ、ぷぷぷ、プロデューサー!?いったい何を……た、確かに私と真ちゃんは心で繋がってますけど、こういう物理的な繋がりはおかしいですってばぁ!!そもそも真ちゃんはすっごく乙女だから、最初から道具に頼るなんて絶対にあり得ませんっ!!解釈違いも甚だしいですぅ!!!こういうのは将来的にきちんと手順を踏んで心も体も結ばれてから、マンネリ防止も兼ねて新たなステップを二人きりの夜に」

な、なに急に捲し立ててんのよ…………もしかしてアンタ、このそーとーでぃるどが何か知ってるの?ちょっと教えなさいよ。

雪歩「きっと真ちゃんはこんなのムリって顔を真っ赤にしながら言うんですけど、そこは私がなんやかんやで上手くリードして…………って、うぇぇぇぇぇぇっ!!?し、知らない!知らない知らない!!そんなの少しも知らないよぉ!!?」

え、だって明らかに知ってるリアクション……

雪歩「い、伊織ちゃん!そろそろ次にいこっ!?ねっ!!?」

う、うん……まぁ主役がそう言うなら…………



【誕生日おめでとう!雪歩にはこんな服が似合うと思うんだ。(つ童貞を殺す服)】



こ、この変態!ド変態!!変態大人っ!!
だからこういう変態プレゼントはいらないって……見なさいよ!雪歩がまた気絶…………

雪歩「あ、プロデューサー。私こういうお洋服は苦手で……お気持ちだけ受け取っておきますね?えへへ。」ニコッ

……なんかアンタ、疲れきってない?普段なら『こんなのムリですー!』とか大声で叫びながら、この場で穴を掘って埋まってそうじゃない。

雪歩「うん、なんというか……さっきのが振り切りすぎてて、ちょっと感情が行方不明になっちゃったというか…………」

さっきの……あぁ、あのそーとーでぃる

雪歩「伊織ちゃん。それ、絶対に外で言っちゃダメだよ?はい、ゆーびきーりげーんまーん、うーそつーいたーらあーなほーってうーめちゃーいまーすー。」

いや、怖い怖い怖い。それ、アンタが言うと洒落にならないって。

雪歩「うふふふふ、それじゃ次に……いってみよー♪」

ゆ、雪歩が徹夜明けみたいなテンションに…………



【雪歩好き、大好き、愛してる。これからも隣をゆっくり歩いてくれ。出来れば手を繋いで】



雪歩「…………………………………………」

ゆ、ゆきほー?おーい、ゆきほー?






雪歩「…………」ポロッ

!!?

雪歩「ぷ、ぷろでゅうさぁ…………!ありがとう……ありがとうございますぅ…………これからも私と一緒に……ぐすっ……一歩一歩……ひっぐ…………!」

ちょ、なに!?アンタ、さっきから本当におかしいわよ!?確かにコイツにあるまじき良いメッセージだけど……こんなに泣く!?さっきから情緒どうなってんのよ!!

雪歩「ひ、干からびたダムがぁ……優しい雨で満ちていってぇ……ひぐっ…………決壊したら危ないから近隣住民の方々に緊急避難速報がウーウーウー……ぐすんっ…………」

ど、どさくさに紛れてポエムを披露しないで!っていうか、アンタのポエムっていつ聞いてもほんっとアレね!!



雪歩「プロデューサー、暖かくて優しいメッセージをありがとうございましたぁ!萩原雪歩、完全復活ですぅ♪」

ま、何があったのかは知らないけど、元に戻ってくれたならそれでよかったわ。

雪歩「うんっ!あ、ところで伊織ちゃん。さっき私のポエムがアレって」

さぁ、張り切って次にいってみよー♪



【雪歩に巷で有名なアバ茶一年分をプレゼントだ。ちょっと風味が強いけど慣れれば何杯でもイケるぜ
あと類似品だが伊織グループが開発したイオ茶もプレゼントだ。味はうん………妙に甘ったるくて香りのクセが強い】



雪歩「アバ茶……うぅ、勉強不足ですみません。マテ茶なら飲んだことあるんですけど…………」

独特の風味があるって、それこそマテ茶みたいなもんなんじゃない?たっぷり貰ったわけだし、美味しかったら給湯室に置いておきましょうよ。

雪歩「そうだね。あとイオ茶って……へぇ、伊織ちゃんのお家ってお茶っ葉の栽培もしてるんだぁ。」

いや、その伊織ちゃんが初耳なんだけど……そもそも何?その甘ったるくてクセが強いって表現!私の名前を冠したお茶なら、誰からも愛されるお茶に決まってるでしょ!?

雪歩「で、でもほら。味や香りの個性が強いと、好きな人には堪らないっていうか……あとで飲んでみようよ。ね?」

ふんっ。おおかた素人の適当ブレンドなんだろうけど、伊織ちゃんの名前を勝手に使った挙げ句に不味かったら承知しないんだから。



ほら、次にいくわよ!



【聖なる日に生まれた雪歩は聖天使に違いない。雪歩、誕生日おめでとう。愛してる!】



雪歩「あ、あぅぅ……またまた私には過ぎた言葉が…………」

……ちっ。相変わらずボキャ貧なヤツね。もう言葉選びからしてだっさださだわ。愛してるって気持ちを愛してるって言葉でしか表現できないヤツなんて、どーせ頭ポンコツの鳥頭のボケボケのダメダメの…………

雪歩「い、伊織ちゃん。そろそろそのぐらいにしてあげたら…………」

むぅ……はいはーい。愛し合う二人の仲を邪魔しちゃってごめんなさいねー。ふーんだっ。

雪歩「うぅ……どう考えても私の方がおじゃま虫だよぉ…………彼氏さんと彼女さんの間を引き裂くようなおじゃま虫は、いっそこの場で穴掘って……」スチャッ

う・ま・ら・な・いっ!!

雪歩「ひぅっ!?は、はいぃぃぃぃぃ!!!」



ふんっ!次よ、次!さっさと次っ!!



【雪歩にはコートとマフラーを贈ろう。マフラーを一緒に巻いて手を繋いでデートするんだ!】



……………………………………

雪歩「い、いいい、伊織ちゃん!?この場合のデートっていうのは、多分その……ち、違う意味でのデートなんだよ!きっと!」

……デートにデート以外の意味があるなら、今すぐこの場に辞書でも何でも持ってきなさいよ。

雪歩「そ、それは……そのぉ…………で、でもこのコートとマフラー、ほんと素敵だよね!暖かそうだし、これで一緒にお出かけできたら心までぽかぽかに…………じゃなくてぇ!!」

ねぇ、アンタさぁ……さっきから『手を繋ぐ』って言葉には一切反応しないけど、その辺は問題ないわけ?大の男嫌いのアンタが?もう反応もしないぐらいには心を許しちゃってるとか?

雪歩「い……い゛ぇぇぇぇぇぇぇっ!?そ、そそそそそ、そんなことないよぉ!たださっきからもっと凄い言葉を色々聞いちゃって、私の中の感覚がすっかりマヒしてるというか…………い、伊織ちゃんが誤解してるようなことは断じてないから!女・萩原雪歩、神様仏様のの様に誓って何度も言えるよ!?」





…………………………………………



雪歩「あ、あぅぅぅぅ…………」





……ぷっ。あはっ、あははははっ♪

雪歩「ふぇ……?い、伊織ちゃん…………?」

もー、冗談よ冗談。今さらこのぐらいで、この伊織ちゃんが拗ねたりキレたりするわけないでしょ?
いつの世だって、正妻はドーンっと構えてるもんよ!にひひっ♪

雪歩「も、もぉぉぉぉ…………!驚かさないでよぉ……私、もう蛇に睨まれたアマガエルみたいに縮こまっちゃって…………」

こーらっ!誰が蛇よ、誰がーーー!

雪歩「えへへ♪はぁ、よかったぁ…………」





ま、それはそれとしてプロデューサー。アンタには後でちょーーーっと色々と聞かなくちゃね。
これが終わったらすぐよ。すぐ。絶対に逃げんじゃないわよ?っていうか逃がさないけど。絶対に。わかったわね?返事は?はいかイエスかで3秒以内に答えなさい。

雪歩「ぴゃっ…………つ、次に!次にいきましょお!!
雪歩誕生日伊織ちゃんメモ♪【03】