あっ…………な、なんでアンタってヤツは、普段ショボショボなくせに……こういう時だけカッコつけんのよぉ!ばかぁ!!

うっさい!今はこっち見ないで!ばかっ!えっち!すけべっ!!



……だめ。もう私……私…………っ。



……ねぇ、突然なんだけど……さ。私、そろそろAランクへのランクアップフェスに挑める頃よね?今Bランクのトップは私だもの。いい加減次のステップに進むべきじゃないかなって、そう思うわけよ。

それでね?もし私が、Aランクアイドルになったら……ひとつだけ、たったひとつだけワガママを聞いてほしいの。

別に大したことじゃないのよ?自分でも笑っちゃうぐらいくだらないことだし、もしかしたらアンタも呆れちゃうかもしれないわ。それでも私にとっては、とっても重要なことなの。



ねぇ……お願い。約束、してくれる…………?





……そ。ふふっ、やっぱりアンタって優しいわね。その優しさ、アンタの数少ない長所なんだから、これからも……は、はぁ!?これまでもたくさんワガママを聞いてきたからなって…………あ、アンタねぇ!!本当に……ほんと…………ぷっ!あはははははっ♪ちょ、ちょっと!なにアンタも笑って…………も、もうっ!笑うなぁっ♪



あー、笑った笑った……それじゃ、そろそろ行きましょうか。事務所で皆が、私の誕生日パーティーの準備をしてくれてるんだって。どんな豪華絢爛なパーティーだって敵わない、私にとって一番大切で楽しみなパーティー…………

ふふっ!さぁ、前座は終わりよっ!これからが本番なんだから、ちゃーんと最後まで付き合いなさいよね!?

それじゃ……えいっ!



ギュッ



にひひっ♪なによ、腕に抱きついたぐらいで大袈裟なリアクションしないでよね?恥ずかしい。

ちゃーんと私を、事務所までエスコートすること。それがアンタの仕事でしょ?騎士様っ!

さぁ、伊織ちゃん生誕祭はまだまだ続くわよっ!スーパーアイドル伊織ちゃんがこの世に生まれた記念日を、事務所総出で祝いなさ~~~いっ!!あははははっ♪



【伊織はいつものように豪快に笑いながら、そう高らかに宣言した。どうやら今日は、まだまだ終わらなさそうだな。】

【腕に確かに伝わる温もり。自分でも笑っちゃうぐらい分不相応な騎士の称号だけど、可愛いワガママ女王様の命令なんだ。これからも俺なりに精一杯やっていこう。】

【シンデレラがお城の階段を一歩一歩上がるように、伊織も一歩一歩確実に成長している。今の伊織なら、Aランクアイドルだって夢じゃない。】

【それでも今は、アイドルじゃないありのままの彼女を、心から祝いたい。誕生日、おめでとう!伊織っ!!】

パーフェクトコミュニケーション
誕生日202114