今日の仕事は……そう、もう終わりなのね……はぁ…………



うぅ……不安だわぁ…………なんでせっかくの誕生日に、こんな爆弾背負って過ごさなくちゃいけないのよ……うぅ…………

……何のことって、決まってるでしょ。この後に開かれる水瀬家主催の伊織ちゃん生誕祭のことよ。お父様や兄さん、来賓の方々も大勢来るんだもの。それなのに……うぅぅ…………



はぁ?そんなに緊張しなくても、伊織なら大丈夫って……ばかっ!そんなもん当然でしょ!?私が何歳の頃から、こういう場を経験してると思ってんのよ!並の大人なんて比較にならないぐらいの経験とマナーを兼ね備えてるんだから、見くびらないでちょうだい!

私が不安なのは……アンタよ。ア・ン・タっ!!いくら私が完璧に立ち振る舞っても、アンタがお間抜けなことをした瞬間に評判がた落ちなんだから。あぁ、やっぱり水瀬のお嬢様は道楽でアイドルをやってるんだなって……きーーーっ!想像しただけで腹立つわっ!!

ちょっとアンタ、絶対に当日しくじるんじゃないわよ!?もしフィンガーボウルが出てきたとして、それを飲んだりしたら絶交だからね!?ほんっっっと頼むわよ!!?



まぁ、この日までに伊織ちゃん先生によるマナー講習かっこスパルタバージョンかっことじ、を積んできたから大丈夫だとは思うけど……

う、うっさい!アンタの物覚えが悪すぎるから、数回愛のムチを食らわせただけでしょ!?文句言わないでっ!!



……そ、それじゃ着替えるわよ!ほら、アンタもちゃんとしたスーツに着替えてきて。

うぅ、ほんとに今日はアクシデントが起こらずに済むのかしら……一応とっておきのサプライズも用意してるから、大丈夫だとは思うけど…………

あぁ、神様のの様!いつも良い子な私の顔に免じて、今日はよろしくお願いします……うぅ…………

【ったく、心配性だなぁ…………ほら、着替えたぞ。】
誕生日202101