ぜーんぜんっ。むしろ逆ですよ、ぎゃーくっ。

ボク、知ってのとおり小さい頃から男の子みたいに育てられたんです。

髪は耳にかからないぐらいの長さ、買ってもらえるオモチャといえば戦隊ヒーローの人形やミニカー、ランドセルの色は当たり前のように黒…………子供ながらに思いましたよ。なんでボクだけ、って。

あぁ、それとコレ。この自分のことを“ボク”って呼ぶの……一応、直そうとはしたんですよ?でも物心ついた頃から“ボク”だったのに、今さら“私”なんて照れくさくて……どうしても直せなかったんです。



そんなわけで……まぁ、周りの男の子達から言われるわけですよ。『菊地って女のくせに男みたーい!』とか、『男女(おとこおんな)が来たぞー!』とか…………

ほかには、イケメン俳優の話で友達と盛り上がってたら『ホモ女だー!』ってからかわれたり…………あはは。さすがに酷すぎますよね。いやぁ……アレ、キツかったなぁ。



……それでボク、一時期不登校になっちゃったんです。

父さんには叱られましたよ。『堂々としてればイジメなんかすぐに無くなる。お前が情けないからイジめられるんだ』って。でも、学校に行こうとするとお腹がぎゅーって痛くなって……一日中、布団の中でボロボロ泣きながら丸まってました。

幸い何人かの友達が毎朝迎えに来てくれたおかげで、なんとかまた登校できるようになったけど……もしその子たちがいなかったら、ボクは今ここにいないかもしれません。そう考えると、なんだかゾッとしますね。



ね、これでわかってくれました?

子供の頃のボクはガキ大将なんかじゃありませんし、どっちかと言えばそういう人にイジめられてた側……ちょっと、プロデューサー。聞いてます?

プロデューサー?おーい、プーロデュ……え、今なんて…………





……今からソイツらまとめてぶん殴りに行くって……ちょっ!?お、落ち着いて!落ち着いてくださいっ!!プロデューサー!!

そりゃボクのことで怒ってくれるのは嬉しいですけど、今さらそんなことされても逆に困るっていうか……ちょっ!ほんっ……ほんとに!本当にいいですからっ!!さっきから小声で『クソガキども……』って言うの怖すぎますからっ!!ちょっと!!

だ、誰か~っ!誰か来て~~~!!誰かプロデューサーを止めて~~~~~~っ!!
小さい頃にガキ大将とかやってそう【菊地真】