……殴られたいならそう言いなさいよ。アンタのそのショボい顔、ちょっとは見られるように伊織ちゃんが整形してやるわ。もちろん素手でね。
ふんっ!そういう意味じゃないって……じゃあどういう意味で…………こういう女の子が好きそうなおもちゃ、興味ないのかと思ってたって?
……まぁね。私、もう高校生になるお年頃だもん。それに家に帰れば本物の宝石がいくらでもあるしね。ダイヤモンドやルビー、サファイアやオパール…………もう数え切れないわ。
でもね、小さい頃に友達と遊んだ時……私だけだったのよ。自分の宝石を持ってないの。
イミテーションのティアラやイヤリング、ブローチやネックレス……皆それを宝物として持ち歩いて、本当に嬉しそうに身に付けてたわ。
私もね?一回お父様に頼んでみたのよ。皆みたいに、私も自分の宝石がほしいって。そしたらお父様……本物のダイヤモンドをプレゼントしてくれたの。水瀬の人間として、イミテーションじゃなくて本物を身につけなさいって。
いや、その時は嬉しかったのよ?これが私の宝石なんだ。皆にも見せてあげようってね。
でも、そしたら新堂に止められて……あぁ、そういえばその時は理由がわからなくて、酷いこといっぱい言っちゃったっけ。『新堂のばかっ!きらいっ!』とか『出てけー!』とか『死んじゃえー!』とか…………な、なによ。まだ小さかったんだから仕方ないでしょ?
ま、今思えば新堂の対応も当然よね。もし失くしたら大変だし……いくらプレゼントされても、そんな高級品はお父様の所有物でしょ?当時の自分が身につけるような等身大の宝石、結局私はひとつも手に入れられなかったの。
……はぁ、なーんか余計なことまで思い出しちゃったわ。それもこれも、アンタが変なこと言うからね。ったく、空気の読めないヤツ!
【……すみません。この宝石、買わせてください。】