それにしてもアンタ、よくこんなに堂々としてられるわね。街中でウェディングドレスって……さっきから色んな人にジロジロ見られてるのに、普段どおりのあずさって感じだもの。
あずさ「ん~、確かに周りの人の視線は感じてたけど……そんなに気にしなくていいかなって。ほら、周りなんて気にしないで、私らしく今日も~♪ってね?うふふっ♪」
あら、上手じゃない。新曲の『晴れ色』の歌詞、まさにアンタって感じで私は好きよ?
あずさ「私もこの曲、大好きなの!着飾らない等身大の私っていうか、歌っていてもすごく感情が入りやすくて……普段もついつい口ずさんじゃうのよ。」
にひひっ♪良い曲を貰ったわね!でもいくらアンタが自然体でも、周りはそうはいかないみたいよ?

街に突然現れた美人花嫁を見て、画家はインスピレーションを得て仕事が捗り、たくさんの猫ちゃんも集まり、サーカスの象やキリンも大喜び…………アンタ、案外教祖の素質があるかもね。どたぷん教とかどうかしら。
あずさ「えぇ~!?わ、私が教祖様だなんて……そんなのムリよぉ。ただでさえ私自身が方向音痴なのに、それじゃ信者の皆さんまで迷子になってしまうわぁ…………」
ま、確かにそうね。どたぷん教信者、謎の集団失踪……なーんて、ワイドショーの格好の餌食だもの。うん。やっぱりやめとくのが賢明かしら。
あずさ「もうっ!伊織ちゃんったら……あんまりイジワルだと、またお姫様抱っこしちゃうわよ?」
あははっ!ごめんごめん。ちょっとイジワルだったわね。
それで、お腹を壊した占い師さんの代わりに店番をしてあげて……あら?お客さんが来ちゃったのね。
あずさ「そうそう。その人がね?
……あ、それじゃ次で説明しようかしら。」