この頃の私って、ほんと世間知らずよねぇ……見てよ、あのジャガイモ。いくら好きじゃない食材だとしても、他に積んである方が質が良いって一目瞭然じゃない。
ったく……普段からコック任せにしてるから、こんな基本的な目利きもできないのよ。これじゃグルメとしては半人前だわ。
やよい「伊織ちゃん、すっごくお料理上手になったもんね。はい、伊織ちゃん!キュウリの美味しいのは!?」ビシイッ
イボイボが目立つヤツね!
やよい「里芋はっ!?」
泥つきの方が安価だし栄養価も高いわ!
やよい「えへへー♪よく出来ましたー♪」ナデナデ
ふにゃ……嬉しい…………♪はっ!いけないいけない。幸せ過ぎて司会を放棄するところだったわ。
えっと……この時はやよいに色々叱られて、正直言って不満もあったわ。こんなの全部一緒じゃない、ってね。でも、やよいにスーパーの店員さんが笑顔で話し掛けてる光景を見たら、そんな小さなことがどうでもよくなるぐらい嬉しくなっちゃったのよ。
ステージで輝くアイドルとしてはまだまだだけど、このスーパーではもう立派なアイドルなんだなって。そんな娘が友達なことが、なんだか誇らしくてね。
やよい「店員さん、すっごく親切だったでしょ?この時も半額シールを貼ってくれて……皆優しいから、心もお財布もぽっかぽかなんだー♪」
ふふっ……それはアンタが優しいからよ。優しいヤツのところには、いっぱい優しさが集まるように世の中できてるわけ。だから、もっと胸を張っていいと思うわよ?
やよい「そうかなぁ……そうだったらいいなっ♪それじゃ、そろそろ次のシーンに……」
あ、待って。これだけは言っておきたいの。
やよい「う?」

いや、このやよい可愛すぎるでしょ!?ちょっぴり怒った表情で、べろちょろを両手で握りしめる姿……はぁ、可愛い…………♪
やよい「い、伊織ちゃん!?私、この時は怒ってたんだよ!?可愛くないよ!?」
バカねぇ。どこからどう見ても、360度全方向から可愛いじゃない。
さ、次にいくわよ?はぁ、眼福眼福♪
やよい「う~~~、なんだか納得いかないかも。もっと怒った顔の練習した方がいいのかな……めっ!って……うーん、うーん…………」