ダブルブッキングって……スケジュール管理の初歩の初歩じゃない。現場にも凄く迷惑かけてるし、気まずい雰囲気の中で一人取り残されてる真の気持ちを考えなさいよ。ほんっとあり得ないわ!
春香「うぅ……さっきから伊織の鬼っぷりが止まらないよぉ…………プロデューサーさん、収録が終わったあと大丈夫なのかな…………」
ふんっ!大半の視聴者の意見を代弁してるだけよ!私ならもっと詰め寄ってやるところだけど……その場にいたのが人の良いアンタや響で救われたわね。
春香……私たちを信用してくださいって…………そうよ。そうなのよ。アイドルとプロデューサーは、お互いを信用してなくちゃダメなんだから。律子とコイツの決定的な差はそこね。経験以前の問題だわ。
春香「プロデューサーさん……タクシーの中で自分のことをすっごく責めてたね。なんだか可哀想かも…………」
なによ、自業自得じゃない。自業自得だけど……人ってこうやって成長していくもんでしょ。私やアンタだって、いっぱい失敗して成長してきたわけだし……ま、この一件以来、コイツも少しはマシな顔になったわよね。少しね?ちょっぴりだけ。
春香「ふふっ……伊織、やっと機嫌直ってきた?」
ふ、ふんっ!あんまり哀れだったから、少しフォローしてやっただけよ!んで、迷惑をかけた現場の方は…………

春香「さすが美希だよねぇ。急なお仕事だったのに、一発で振り付けを完璧に覚えちゃうなんて…………」
あら、私だってやろうと思えば出来るわよ?……い、一発は厳しいかもだけど。
春香「伊織や美希は凄いなぁ……私なんか、今だってこの時の美希よりダンスへたっぴだと思うし……えへへ。」
……なーに言ってんのよ。確かにアンタはこういう器用さはないけど、真面目に頑張って身につけたスタミナがあるじゃない。美希も言ってたわよ?春香とレッスンすると、自分が絶対先にバテちゃうって。
春香「そ、そんなことないよ!私は人より覚えるのも遅いしどんくさいから、せめてレッスンの量だけは多くしてるだけで…………」
それをこなせる体力と前向きさが凄いって言ってるのよ。っていうか!そこはアンタのセールスポイントなんだから、変に謙遜するんじゃないの。もっと胸を張りなさ~いっ!!
春香「……ありがと、伊織。えへへ……えへへへへ…………♪」
ったく……
それじゃ、次に行くわよ?