ある夜のことです。
たまたま街をふらりと彷徨う私の耳に聴こえてきた、なんとも風情のある笛の音。その寂しく闇に溶ける音色は、まるでかの静御前が源義経を想い、静寂の夜に響かせた笛の音のように感じられました。
私はその笛の音に引き寄せられるように足を運び、その先に待っていたものこそ……らぁめんの屋台だったのです。
笛の音以上に私の五感を刺激したのは、なんとも言えぬ芳醇な香り……気がつけば私の前には空になったどんぶりがいくつか並んでいました。
そう。その夜、四条の家でこの世の全てを学んだつもりだった私の前に新たな未知なる世界が開けたのです。一杯の器に広がる、無限の世界……さながらそれは、小さな宇宙のようではありませんか。
らぁめんは文化、らぁめんは進化、らぁめんは可能性……!あぁ、らぁめん!どうしてあなたはらぁめんなのでしょう!!
……失敬。少し取り乱しました。
して、あなた様。聡明なあなた様のことです。ここまで言えば……ね?あなた様…………ね?
<ラーメントクモリイッチョウ オマタセシヤシター

ずるずるずる……ふふっ、真に美味です…………♪