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……なによ。別に怒ってないから。話し掛けないで。
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だ、だから……怒ってないって言ってんでしょ!?それなのに何度もしつこく聞くってことは、自分が怒らせるようなことをしたっていう証拠よね!?そうでしょ!!?
……はぁ、あのね。私、ほんとに怒ってないのよ?そりゃちょっとビックリはしたけど……私だってなんとなく途中から、今日が大人の階段をひとつ上がる日なんだって思ってたもの。
初めてのちゅーも、あったかくて優しかったし……それに、その……
気持ちよかったし…………で、でも……私が、そのぉ…………は、はしたなくなかったかなって……レディーとして、不覚にも乱れちゃったというか……だ、だから顔を合わせにくいの!わかりなさいよっ!この乙女心をっ!!
……すっごく可愛かったって…………ば、ばかっ!ばかばかばか……うぅ…………ばかっ!!早く車出しなさいよぉ!!ばかぁ!!
はぁ、やっと着いた…………それじゃ早速事務所の中に……そういえば、今日ってハロウィンだったわね…………ねぇ、アンタ。今ってさ、なにかお菓子とか持ってる?
ふーん……ないんだぁ……ふーん…………
トリック、オア、トリート。お菓子をくれないなら、イタズラしてやるわ。
……はぁ?事務所に入ってからじゃ遅いのよ。私は“今”お菓子を要求してんの。だったら今出せなくちゃ、ひっど~いイタズラをしちゃうに決まってんでしょ?
私はほら、さっきアンタにお茶請けも出してやったじゃない。だから反撃される心配もなく、安心してアンタと交渉できる権利を持ってるわけ。おわかりかしらぁ?
……べーつにー?さっきも言ったけど、怒ってるわけじゃないもーん。
っていうか、そんなのどっちでもいいじゃない。いずれにしても、トリートを用意できないヤツには、ハロウィンの流儀に従ってトリックを仕掛けてやらなくちゃね。
ほら、手出しなさいよ。ほら、早く。
【こ、こう……か…………?】