たっだいま~。はぁ、なんとか間に合ったわね。放送まであと10分……うんうん、アンタもよくやったわ。褒めてやるから感謝しなさいよねっ♪

どう?意外と片付いてるでしょ。実はこの部屋、結構立ち寄ってんのよね。お父様と喧嘩したとかじゃなくて、ちょーっと時間を潰したいときだったり、一人で集中したいときだったり…………

だって、ここは私だけのお城だもの。私の、私だけの特別な別荘…………にひひっ♪なんか秘密の隠れ家って感じで素敵でしょー!

へ?ここに来るときはどうしてるのかって……そりゃ新堂に送ってもらってるに決まってんじゃない。ばっかねー。



さーてと、それじゃアンタも適当に寛いでいいわよー?後でコーヒーぐらいは淹れてやるから、テレビのチャンネルだけ合わせといてちょうだい。

じゃ、私もまったりお家モードに~っと。ふんふんふ~ん……うーん、ちょっと前髪伸びてきたかも。そろそろ揃えるぐらいは切っても…………

あ、ちょっと。だから寛いでてって……ん、じゃあ私もコーヒー……待って。砂糖もお願い。そこの棚にスティックシュガーが置いてるでしょ?……いや、あるってば。この間買ったばかりで……そうそう、それよそれ。

ったく、おとなしく寛いでればいいのに……ほーんとアンタって、根っから下僕根性が染み付いてるのね。いったい誰のせいで……んー?なーに?聞こえなかったんだけどー?……ふふっ♪



コトッ



んー、ありがとー。さ、後はドラマが始まるのを待つだけね!にひひっ♪楽しみ楽しみ~♪

ねぇ、アンタも楽しみで……ちょっと、なにジロジロ見てんのよ。今さら私の可愛さに見蕩れちゃってるわけ?

【いや、前髪を下ろした伊織って、あんまり見ないからさ。】
ある日の恋人たちの風景05