にひひっ♪さっすがは私の下僕!察しの速さを褒めてやるわっ!そうよ、今すぐ家出部屋に向かって車をとばしなさいっ!法定速度も今だけ無礼講よっ!!

はぁ……それにしても、さすがは伊織ちゃん。Cランクになり立ての頃に借りた家出部屋が、まさかこんな風に役に立つなんて……先見の明がありまくりというか、やっぱり才女は違うもんよねぇ…………

……な、なによ!確かにお父様と喧嘩したとき用に借りたのが一番だけど、こういう不測の事態も当然見越してたに決まってんでしょ!?さっきの“まさか”っていうのは……こ、言葉のアヤよ!アヤっ!!



ま、なんにせよこれで全部解決……は?番組を見終わったらまた迎えに来るって……なに言ってんのよ。アンタも一緒に見るのよ?当然じゃない。

アンタねぇ、担当してるアイドルの主演ドラマよ?私の横で涙を流しながら褒め称えるのも、アンタの重要な仕事でしょうが。ったく、そんな常識的なことから教えないといけないなんて……ほーんとポンコツなプロデューサーね。

ほら、ワックスとサングラスよ。これでガッチリ強面に決めちゃえば、セレブなお嬢様を守る黒服SPの出来上がりってわけ。これなら週刊誌のハイエナどもに嗅ぎつけられたところで、どうとでも言い訳がつくでしょ?ふふんっ♪伊織ちゃんってば、あったまいーーーっ♪

さ、善は急げよ!ちゃっちゃとセットして、ちゃっちゃと家出部屋にレッツゴーーー!!

【……承知いたしました。お嬢様。】
ある日の恋人たちの風景04