……あの戦いはよく覚えています。

私たち駆逐艦と矢矧さんは、大和さんを護衛しながら沖縄めがけ無謀な特攻をしました。
勝てるとは思っていませんでした。ですがこのまま負けるのを待っていたら、先に沈んでいった姉さんたちに合わせる顔がありませんでしたから……。

集中攻撃を受けた大和さんが真っ二つになって轟沈し、私は敵機から爆撃を受けて大破炎上、艦首が破損し、通信機器とジャイロコンパスまで故障。海図は全焼。目が……見えなくなってしまったのです。

ですが、あの一人辛く寂しい海をなんとか後進していき……私、佐世保に戻ったのです。
生きて……帰ってこれました。


ですから……あの時のように。
どんな傷を負っても私は必ずこの鎮守府に戻ってきます。
信じて送り出してください、提督。
坊ノ岬沖海戦