そうだ。
デインの敗北が決したときに俺は最期の抵抗をしようとしたんだ。
王が敗れ、城は制圧され、戦争として負けは決まった。
この状況から戦局をひっくり返すには敵将を討つしかない。
鎧を脱ぎ、剣のみを持って未だ熱気の冷めぬ王城へと押し入ろうとした。
……直前に止められ結局叶わなかったが。
団長の命令だったんだ。
馬を浚って今すぐ逃げる、とな。
どうやら団長はとっくにデインには見切りを着けていたらしい。
烏の民に高い金を払って脱出経路を用意していたんだとさ。
笑っちゃうよな。
最後まで本気だったのは俺だけだったなんてさ。
もちろん団長が言ってることの正しさはわかるし、周到な準備を整えていた団長のことを否定はしない。
でも、ここで逃げたら俺が求めた道は終わってしまうんじゃないのか?
その迷いが俺の足を頑なに離さなかったんだ。
王が討たれても、城外の戦いが終わるまでは数刻の誤差がある。
逃亡の準備を整えた団に、ガリアの兵が迫りくる。
奴らの足は、早馬にすら追い付く。
誰かが足止めしなければ、せっかくの逃走計画もパーだ。
気付いたときには、俺は団長に背を向け。
ガリア兵と一人で対峙した