(任務で訪れた地で一緒だった呪術師の人はこの後も別件があるから、と先に補助監督の車で向かってしまった。
東京とはいえ知らない場所に1人残され、迎えが来るまで暇だなー、せっかくだしぶらつくかーと歩いたのが間違いだった。辺りを見回してもどっちから来たのかわからない。完全に迷子だ。

スマホを取り出して補助監督の人に連絡をとると、まだ向かっている最中なので着いたら探します、と返事がきた。仕事を増やして申し訳ない…。迎えが来るまで下手に動くのはやめてこの場で待つことにしよう。)




なんや、東京いうても田舎やん。

(近くで聞こえた声に顔を上げると、和服姿の関西弁を話す男の人がいた。早ぅ帰りたいわぁと呟いたその人は、こちらの視線に気付いてバチっと目が合う。)

自分、ここで何してるん?この辺の人?
同じ呪術師みたいやし案内してや。

(女に案内されるのは癪やけどな、と付け足される。年上の人だろうけど失礼な人だなと思いつつ、自分も迷子であることを伝えると顔をしかめられた。)

ハァ?迷子ぉ?…はぁー、使えな。
ていうか、自分も言うたけど俺はちゃうからな。一緒にすんなや。

(抑えろ抑えろ…と、頭の中で目の前の人にめちゃくちゃパンチを入れて気持ちを落ち着かせる。早く補助監督の人来ないかな…!)

あとキミ、弱いやろ。大した呪力も感じられん。
東京はキミみたいなのも駆り出さんとアカン程人手不足なん?


乙「それ以上、彼女を侮辱するのはやめてもらえますか。直哉さん。」