おや。
……先生か。奇遇だね。

ここは静かだろう。
人の気配が少なくて、音も柔らかい。
シマエナガにとっては、落ち着いて羽を休められる環境だ。

……驚いた顔をしているね。
ここに私がいることが、そんなに意外だったかい?
もっとも、私自身も、誰かと鉢合わせるとは思っていなかったけれど。

ほら。枝の上。
ああいう距離感を保てるのが、あの鳥の賢さだ。
近づきすぎない。けれど、完全には離れない。

……君も、似たところがある。
世話は焼くけれど、踏み込みすぎない。守ろうとするが、所有しようとはしない。そのバランスは、意識していようがいまいが、保てるのは尊敬に値するよ。

ふむ。
私がここにいる理由?
観察だよ。
あの小さな生き物を。それから、それを見守る君を。
ふふ、観察対象が増えた、ということさ。

評価を下すつもりはない。
ただ、静かなものを前にした時の君は、普段より思考が澄んでいる。
それが、少し心地よかっただけだ。

……
シマエナガが飛び立つまで、ここにいよう。
無理に話す必要もない。
同じものを見ている、という事実だけで……十分だろう?

君が来てくれて、悪くない時間になったともさ。