家族からのラインが

ラインが5件来ている




「あのオッサンの家、絶対に一人で行くな」

 あれはちょうど、八谷さんの家に一晩泊まることになった日だ。今はもう覚えていないが何かがきっかけで帰りが遅くなってしまい、その日は運も悪く予報外の暴風雨で電車も大幅に遅れてしまっていて同じように帰宅に困る人々が我先にとタクシーを捕まえていくのでなかなか捕まらず、駅の近くを右往左往としていたときのことだった。
 兄の文目に連絡を入れようと思うも時間的にも未だ仕事中だ。それに、弟の行途の学校の帰りも心配であった。それなら自力で帰宅して、文目には行途を迎えいにってもらわなければ――そう考えていたとき「困ってるんじゃないか?」と、八谷さんから連絡が来たのだ。突然の連絡に驚いたものの、気を利かせてくれたのだろうと素直に現状を伝えると迎えに来てくれるという。八谷さんは、本当に迎えに来てくれた。
 どうやら八谷さんも同じ時間に帰宅するようだった。このまま自宅へ送ってくれるものかと思っていたが、あれから八谷さんの自宅へ向かったのだ。じつは、次第に話が盛り上がり楽しくなるうち八谷さんの家へ行ってみたいと、私が言い出したのだ。
 乗せれくれた車の中では取引先から貰ったというお菓子をつまみつつ、ドライブスルーでご飯奢ってくれて、楽しい時間だったと思う。そんな事を思い出すも、目の前に居るどこか顔色の悪い兄の様子に戸惑っていた。



「いいから……車乗せられる時も、顔合わせるだけでも、必ず連絡入れろ。
これからオッサンに会うことになったら必ずオレに連絡入れること」