部屋には二人の呼吸音だけが響いていた。彼の指が最も敏感な場所に触れた瞬間、思わず背中を反らせてしまう。
こんな風に溢れているとは自分でも知らなかった。彼の手のひらに収まる自分の熱を感じながら、どうしようもない羞恥心が込み上げてくる。
「ごめんね……こんなになってて」
「なぜ謝る」
彼の声には優しさしかなかった。
「貴女が私の愛撫で感じているんだ。うれしいに決まってる」
彼の唇が首筋を這い始める。最初は軽く啄むようなキス。それから胸の膨らみへと移っていく。舌先が突起に触れた時には思わず悲鳴に似た声をあげてしまった。
そのまま脇腹をなぞりお腹へと下りていく彼の頭を見て、これから何が起こるのか理解した途端、期待と恐怖で膝が震えた。
「待って……そこは……」
言葉にならない懇願を聞き入れてくれなかった彼の唇がついに一番恥ずかしい部分に触れた。温かい粘膜の感触と執拗な舌使いに、今まで経験したことのない快感が体中を駆け巡る。
「あぁ……んっ!」
必死で声を押し殺そうとするけれど無理だった。彼の手が太ももの内側を撫で上げるたびに背中が跳ね上がる。
逃げ出したい気持ちとこれ以上欲しいという矛盾した感情が頭の中で渦巻いていた。
「お願い……もう……」
涙交じりの訴えにようやく顔を上げてくれた彼は、私の濡れた頬を両手で包み込んだ。
「本当にいいんだな。…本当に、もう引き返せないぞ」
頷くしかなかった。だってもう戻れないところまで来ているのだから。
彼の瞳に映る自分はどんな表情をしているだろう。きっと世界で一番幸せそうな顔をしているに違いない。
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