名前:五条悟

五条の頭を33回なでなでした

もふもふ

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────猿め。










(夏油が姿を消した)

(彼が可愛がっていた後輩が亡くなってから数日後の、忘れもしない、蒸し暑い夏の日のことだった)




(ある日何気なく彼の部屋にあった机の引き出しを開けると、大量の飴玉の包み紙がしまってあるのを見つけた。どれもが見え覚えのある物ばかりで、おそらくわざと置いて行ったのであろうソレは、紛れもなく夏油からの決別の証なのだろう。手のひらに乗せた包み紙は、どれもが綺麗に伸ばされている。……彼はこれから、自分たちとは違う道を歩いて生きていく。夏油自身が決めたとはいえ、どうしようもなく悲しく、寂しかった)

(ポケットの中に入っているケータイからけたたましい着信音が響いても、あなたはずっと立ち尽くし、無造作に掴んだ包み紙を強く握りしめていた)





(カーテンの隙間から、柔らかな光が差し込んでくる。部屋の中はすっかり暗くなり、窓の外で大きな月が輝いていた)

(いつまでもここに居ても仕方がない。包み紙を引き出しの中に戻して、持ち主の消えた扉を閉める。そのまま廊下を真っ直ぐに進んで自分の部屋のドアを開けようと鍵を差し込んだが、何故か手ごたえがないことに気付いて首を傾げた。……よく見れば鍵穴が壊れている。中に誰か居るのだろうか?)


(ドアを開けると、目の前に大きな影があった。彼の名前を呼ぼうとして──ギュッと強く抱き締められる。驚いたのは一瞬。……月明りに照らされて、美しい白い髪がキラキラと光る。そっと背中に両手を回せば、しがみ付かれた腕の力が強くなった)


先輩。

俺、どーすりゃよかった?
殺さなきゃ、駄目だった…?


(鼻を啜る音と共に肩に落ちてくる温かな水滴に、あなたも静かに目を閉じる。──大切な後輩が、傷付いている。もう何も、取りこぼしたくない)


(泣かないでほしい。その一心で、震える口を開き、音を乗せた)


「領域展開」──