……うん、これで良し。
そろそろ本気で転送術の件に取り組もうかな。
(言葉に出来ない僅かな違和感を覚えつつも時は過ぎ、あなたは4年生になった)
(死線を乗り越えて覚醒した五条に、もはや恐れるものなど無い。反転術式を習得してからというものの、常に脳を反転させて自己補完することで術式をオートマ可することに成功したようだ。他の呪術師では出来ないことをいとも簡単にやってみせては更に上を目指す五条は、名実ともに呪術界の「最強」になった。それをほんの少し寂しく思いながらも、あなたは五条の成長を素直に祝って褒めて過ごした。ちなみにこの頃には頭を撫でても、五条は嫌がらなくなっていた。……彼は彼で諦めたのかもしれない。どれだけ嫌がられても年単位で撫でることを試みてきたので)
(そういえば最近、夏油があまり部屋に来なくなった。たまに見かけて声をかけても、苦笑するだけで立ち去ってしまう。……よくよく思い出してみれば、あんなに瘦せていただろうか?)
(五条に聞いてみたが、彼も単独任務が忙しく、あまり会えていないらしい。なんとなく悪い予感がして、話もそこそこに夏油の部屋を訪ねてみた。……誰も出ない。運悪く任務中らしい)
(それから何度も夏油を訪ねてドアをノックしたものの、やはり返事はなく、あなたも自分の任務に忙殺されるようになった。再び言いつけられた長期出張にうんざりしつつ、ドアノブに飴をたくさん入れた袋を引っ掛ける。『今度ゆっくり話がしたい』──送ったメールに返事が来ることはなく、すれ違ったまま時が過ぎていった)
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