──あ、もしかして△△先輩ですか?
(7月。死に物狂いで任務に明け暮れていた合間のほんの休息。高専の庭のベンチで昼寝をしていたあなたの耳を、柔らかな声が擽ってくる)
(導かれるようにゆっくりと目を開けば、太陽の光に照らされて、こちらを覗き込んでいる女の子の顔が見えた)
(……カワイイ)
△△先輩ですよね?
歌姫先輩から仲が良いって聞いて……、やっと会えたんでつい声かけちゃいました。
(歌姫。年上の友人の名前に、あくびをしつつも身を起こして彼女を見つめる。自分を先輩と呼ぶということは、彼女は後輩であるらしい。ということは、ひと月ほど前に出会った男子二人と同級なのだろう。……まともな女子だ。そう思ってしまうのも無理はない。なんせあの二人はなかなかに失礼だったので)
私、家入硝子って言います。
この学校って女子が少ないから、仲良くしてくれると嬉しいです!
よろしくお願いしますね。
(片手を差し出してきた後輩に、こちらこそ、と握手をする。……すべすべで柔らかくて小さい手だ。この学校に入ったということは術式が扱えるのだろうが、まだ実践を重ねていないのかもしれない)
(先輩として守らねば。ニコニコ笑う硝子に満面の笑みで握手を交わしたあなたは、次の日に未成年喫煙をしている硝子を見かけてしまうことなどつゆ知らず、カワイイ後輩が出来た!と心の中ではしゃいでいた)
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