名前:五条悟

五条の頭を33回なでなでした

もふもふ

おい、そこのオマエ!
俺の話聞いてんのかよ!


(──これでもかと不機嫌さを表してぶつけられた声に、ぱちり、と目を瞬く。いつの間にか意識を飛ばしていたらしい。あなたは何度か目を瞬かせて、軽く周りを見渡した)

(どれもこれもが見覚えのある光景だったので、思わず胸を撫でおろす。当然だ。ここは東京都立呪術高等専門学校──略して呪術高専──の校舎の中であり、この学校に通い出してからもう2年目になる。見覚えが無い方がおかしいのだ)


なにコイツ。すげぇムカツクんですけど~。
ザコが俺を無視していいと思ってんのか?
超心外~。


(しかし目の前でギャンギャン騒いでいる青年は知らない。はて、と首を傾げたところで、窓の奥に新緑が茂り始めた大きな桜の木が見えた。季節は6月。新学期の4月はとっくに過ぎている。──任務の関係で2ヵ月近く学校を留守にしていたあなたは、ようやく男が新入生の一人であることに気が付いた)


このクソザコ……さっきから邪魔っつってんのが聞こえねーのかよボンクラ。
廊下のど真ん中で立ち塞いでんじゃねー。
さっさとどけよ!


(……それにしてもこの後輩、とんでもなく口が悪い。ついでにシッシッと犬を払うようなジェスチャーまでしてくるのだから筋金入りだ。上下関係を重んじろとは言わないが、それにしたって限度が過ぎているし、その美しい顔を歪ませてポンポン飛び出てくる罵詈雑言に、いっそ感心すらしてしまう)

(「見た目とは裏腹に随分と性格がアレなんだなぁ」──つい口から飛び出してしまった言葉にしまった!と思ったが後の祭り。一気に眦を吊り上げてこちらを睨みつけてきた男が更に口を開こうとして──ぽん、と肩を叩かれた衝撃のせいか、ようやく男の視線が外れた)





コラ悟。先輩相手に突っかかっちゃ駄目でしょ?
一応年上なんだから。


(…………。「だってよ~」と拗ねた口調で言う悟と呼ばれた彼の隣で、新しく現れた黒髪の青年がクスクス笑う)

(全然フォローになっていない。が、とりあえず場は収まったので良しとしよう。あなたは黒髪の青年に短く礼を言い、ついでに白髪の青年にも「ごめんね」と謝って、長期任務の報告をするために職員室へと歩き出した)


(ギャンギャン騒いでいたはずの声は、いつの間にか聞こえなくなっていた)