(───沈む、沈む、沈む)
(……暗い。まるで海の底だ。何も見えないし聞こえない。どうやら自分は夢を見ているらしい)
(声を出そうとして、ごぽりと生まれた泡が浮かんでは消えていく。指先一つ動かない体に、まるで死人のようだと力無く笑いながら、あなたはそこに漂っていた)
(───意識が微睡む。不思議と恐怖は無かった。むしろ温かいこの空間に、安心感すら抱いてしまう)
(開けていても意味を成さない瞼を伏せ、そっと目を閉じる。息を吸って、吐いて、それから──)
『────』
(ひどく懐かしい、声が聞こえた)