初めて〇〇に会った時のことはよーく覚えてるよ。
術式が全然戦闘向けじゃなかったから、ぶっちゃけそこらへんにいるザコと同じだと思ってたっけなー。

でもメンタル面が異常。ゾンビ級。
僕が何度追い払っても毎日話しかけてくるし勝負挑んでくるし、かと言えばお菓子持ってきて僕に無理やり食わせてきたりしてさぁ。学年が一個上なだけのくせに超センパイぶるんだもん。
極めつけに僕の瞳を見て「空みたい」なんて言っちゃってさ。

あの時の〇〇の顔、今思い出しても笑える。怖いとかじゃなくて、すげぇワクワクしてんだもん。コイツ頭イカレてんだなって実感したのもその時。
僕の目は術式が見えるだけで人の感情なんて分かんないけど、本当にそう思ってんだろうなって顔してた。


……特別になったのはもっと先。初めて〇〇の領域展開に触れた時。
あの時の僕、めちゃくちゃにへこんでたから、まるで精神安定剤みたいだった。

あんなに安心できる場所で「頑張ったね、偉いね」なんて、頭なんか撫でられてさ。
薬どころか一周回って依存性の高い毒薬になんのも当然だろって話だよ。
先輩はそんなつもりなかったんだろうけど。