(──次の日。支度をしてドアを開けると、ちょうど硝子と鉢合った)
あれ、△△先輩だ。
おはようございまーす。今から任務ですか?
え、昨日?いつもの3人で飲み会してましたけど。
……あぁでも、五条の奴アルコール駄目だったらしくて。一口飲んだら急に真顔になって部屋出て行きましたよ。
アイツも人だったんですねー。
(あっけらかんと笑う硝子に、ひとまず胸を撫で下ろす。……とりあえず彼らの友情が壊れることは無さそうで良かった)

(一週間の遠征から帰ってくると、あなたの部屋の前で誰かが立っているのを見かけた。……五条だ。どうやら電話をしているらしい)
は? ンなの知らねーし。
つーか俺、しばらく帰るつもりねーから。いちいちそんなことで電話してくんな、バカ!
断らなかったら許さねーからな!
(バチン、と勢いよくケータイを閉じ、ふと視線がこちらを向く。……最初は目を瞬かせてこちらを見ていたのに、何故か眉間に皴を寄せ、大股でドスドス近付いてきた!)

テッメェ……帰ってくんの遅ぇんだよ!
低級相手に一週間もかけてチマチマ祓ってんじゃねぇザコ!
アンタが居ない間、俺のおやつ無かったんだけど!?
(ぷんすかしながら「聞いてんの!?」と怒鳴ってくる後輩に、ぽかんとしながら今度はこちらが目を瞬く。……もしかしてあの日のことを覚えていないのだろうか?)
土産! どうせ買ってきてんだろ!?
寄こせ!
それとも部屋に隠してんの?
入れろよ!!
(ギャンギャン吠えながらあなたの部屋のドアを壊さんばかりに叩いている五条を宥めているあなたは知る由もない。──これから後輩たちが酒盛りをするたびに、酔っ払った五条の襲撃を必ず受ける羽目になることを)
(そして高専を卒業した後も、この妙なやり取りの関係が続いてしまうことを──今のあなたは、想像もしていなかったのである)