ん。……んっ、…♡
(──何故こんなことに。ペットボトルを片手に真顔で硬直しているあなたの首に腕を回し、自分の口目掛けてちゅうちゅう吸い付いてくる後輩を見下ろす)
(一度呟くと止まらなくなったらしく、あれから五条は口を開いては「喉が渇いた」と駄々をこね始めた。仕方がないのでマグカップに水道水を注ぐも拒否、冷蔵庫にあったミネラルウォーターを渡すも拒否。いっそ嫌がられることをして帰ってもらおうと「口移しでもする?」と聞いた瞬間、ぴたりと動きを止めて黙り込んだので、これ幸いと五条の腰に手を回して抱き抱えようとしたのが敗因だった。そのまま字の如くコアラ化した五条に締め上げられ、両足をがっちりと腰にホールドされて身動きが取れなくなる。それでもなんとかして振りほどこうとしていると、ぽたり、と冷たい雫が頭上から降ってきたものだから、あなたはあんぐりと口を開けたまま放心することしか出来なかった)
(──まさかの泣き上戸!戸惑うあなたに目もくれず、五条はぽろぽろと静かに涙をこぼしている。「いつもは俺のこと甘やかすくせに」──そのままぐり、と頭を擦り付けながらグスグス泣くものだから、いよいよ覚悟を決めるしかなかったのである)
せんぱい。
……もうひとくち……ほし、…♡
(あなたの膝の上に横抱きになるように座ったままの五条が、強請るように口の端を舐めてくる。……シラフに戻ったら絶対ボコられそうだな。逃げられない運命を察して遠い目をしながらも、五条に言われるがまま新たに水を口に含み、口付けた)
───♡
(時折ぷはぁと呼吸をしながらも、腕の中にいる五条は、普段の姿からは想像できないほどに大人しい。二度、三度と水を与えてようやく満足してくれたらしく、すりすりと体を寄せて動かなくなった。……酔うと誰にでもこうなのだろうか?おそらく夏油と硝子と3人で飲んでいたのだろうが、彼らにもやらかした可能性がある。……自分はさておき、数少ない同級生だ。気まずくならなければいいのだが)
→