金銀煌びやかな星やボールのオーナメント、ピカピカと光る電飾…。眩いほどの光をまとう大きなクリスマスツリーを二人で見上げる。
その頂点に一際輝く一等星の飾りにあの日見た星空を思い出した。楽しそうな笑顔を、はにかんだ顔を。思い出す度に苦しくなる胸が答えを知っている。…たった二文字の簡単で簡潔な言葉。今まではそれを伝えるのがすごく難しく感じて…ふざけ半分で言ってみたこともあったけど、やっぱり何となく自分の中で納得できなくて。
だけど今なら迷わず言える気がする。…隣でツリーを見上げる◯◯の笑顔を見てると自然とそう思った。
──伝えよう。
「あの、さ………◯◯」
僕の顔を見上げる◯◯はいつもと変わらない表情をしていて。結構いいムードだと思うんだけど、全然伝わってないな…そんな少し鈍感な所も◯◯らしくて可愛いと思ってしまうのは大概重症だと思う。
そんな彼女の姿に緊張も解けてきて、僕は言葉を続けた。
「僕は、◯◯の事が──!?」
言いかけた途端、後ろからドンッとぶつかられよろめく。そのせいで思わず繋いでいた手を離してしまった。後ろを見ると僕らより少し年上のカップルが「サーセンw」などと言いながらそそくさと去っていく姿が見えた。コノヤロウ最悪のタイミングでぶつかって来やがって…!!ああもう本当ツイてないな……
「◯◯、大丈夫だった?……………◯◯?」
振り返ったそこに彼女の姿はなく見知らぬ顔ばかりが並んでいて、◯◯とはぐれてしまったことを悟った。
あれだけ離さないようにと繋いだ手を、僕は離してしまった。─────
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