いよいよ今日は約束の日だ。あの日の別れ際、「クリスマスにもう一度会えないか」と言ってから早3日。あれからあれやこれやと悩んでいたらもうこの日が来てしまった。前回のように貧血で倒れることのないようにお昼にレバーも食べたしサプリも飲んだから大丈夫大丈夫と自分に言い聞かせる。心配なのは天気予報で曇りの隣に付いてた傘マークだけ。降水確率は30%…何とか降らずに済めばいいんだけど。
─そうこう考えているうちにいつの間にか目的の場所に着いていたようで、足を止め「ふぅ」と一つ深呼吸をする。
期待と緊張で破裂しそうな心臓を何とか落ち着かせ、覚悟を決めて彼女の家のインターホンを押した。

ん゛ん…◯◯ー、迎えに来たよー。準備できてる?」

…ヤバい、声裏返った。こんな調子ではたして大丈夫だろうか。先程固めた覚悟が早速揺らぎそうになったが◯◯の「今行くねー」という声に嗚呼もうやるしかないと彼女に貰った誕生日プレゼントの黒いマフラーをぎゅっと握り◯◯を待つ。

お待たせ、と慌ただしげに玄関を開ける◯◯はいつもと雰囲気が違う気がして。私服姿なんて何度も見てるのに今日は一段と可愛く見えるのは、多分"あの日"から僕が自分の気持ちに素直になったからだ。
ここでデキる男なら「その服似合ってるね」なんて声をかけるんだろうけど僕には微笑み返すだけで精一杯だった。
そればかりか◯◯が「そのマフラー似合ってるね!」と満面の笑みで言うもんだから僕は完全敗北してしまった。あれ…◯◯の方が格好よくね…?
なんだかちょっと悔しくて「◯◯が選んでくれたんだから当然でしょ?」と返したら嬉しそうにはにかんだ彼女にまた僕は完敗した。くやしい。

─ ◯◯との他愛ない会話が楽しくてつい話し込んでしまったが時刻は既に午後5時を回っている。
女の子を夜中まで連れ回す訳にもいかないしそろそろ行かないと。


涙目のサンタクロース

名前:るかと愉快な仲間たち

るかはLv.60になった!▼

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